きっと、うまくいく~非IT業界をスクラムで変えるための系譜~

一人のPO見習いが業界を変えるために奔走する様子をただただ綴るブログです。

第3回ファシリ塾実践コースに参加してきました。

昨日(5/11)はファシリテーション塾実践コースの3回目のライブでした。

ファシリテーション塾についてはこちら

passionate-po.hatenablog.com

今回は令和になって初めてのファシリ塾ということで

「令和~安心への道~」

というテーマでした。

観照術のおさらい

観照術とは前回のファシリテーション塾で取り上げられた世の中の全てのものを"解釈をせず、五感で感じる"という手法。

例えば、

  • 工事の音は不快だな・・・
  • このりんごは美味しいな
  • 何か臭いな

これらは「工事の音という解釈があるから・・・りんごの味を"美味しい"と解釈している・・・ 」といった何かしらの解釈が含まれています。 そんな解釈を伴わずにありのままを受け取るトレーニングです。

改めて外に出てやってみたのですが、これが実に難しい。

実は前述の「工事の音が不快」というのは私自身が言ってしまったもの"THE 解釈"ですね。

ここで一つのアドバイスをいただいて少し内省してみました。

解釈というのは大人になると無意識で行ってしまうもの。

「あそこに見える白い塊は・・・トラックだな(解釈)。トラックだから危ないから近づかないでおこう(動くものという解釈 / ぶつかると危ないという解釈)」

これを無にするのはなかなか難しいです。 これは我々には"経験"にもとずく"記憶"がやがて"知識"となって蓄積されているわけです。

ではこの"経験"、"記憶"、"知識"が備わっていない存在とは・・・どんな存在かというと、

赤ちゃんです。

そこで私の中で赤ちゃんを思い出して、気づきました。

五感のうち中で

  • 聴覚
  • 嗅覚
  • 視覚

は受動的に情報が入ってくるもの。大人になれば"聞き耳をたてる"、"凝視する"などのテクニックが身につくものの、 動物や赤ちゃんはあくまで受動的なものです。

一方で

  • 触覚
  • 味覚

は手を伸ばしたり、口に入れたりすることで能動的に触れることができる感覚です。 そう、赤ちゃんが何にでも触れたり、なんでも口に入れるのは、能動的に取得できる感覚だからなのではないでしょうか?

そして「これは危険だ」という"経験"、"記憶"、"知識"が備わっていないため、片っ端から能動的に情報を取得し、 そのあと、場合によっては反射的に拒否したり、泣くことがあるのかなと私は思いました。

では、我々の中から欠落し始めている"五感をより一層活用する"ためには赤ちゃんのようになんでも口に入れれば良いのでしょうか? それはあまりに危険すぎますし、ただのヤバいやつになってしまいます。

"感覚"と"解釈"が天秤でバランスが取られているとすれば・・・

赤ちゃんは"感覚"の重みが圧倒的に多く、大人は大小の差はあれど、デフォルトの状態は"解釈"の重みが"感覚"より大きくなっているのではないでしょうか? つまり、大人である我々はその状態を理解した上で、時に必要な場合にそのバランスを均等にしたり、重み付けを変えたりすることができれば、 ファシリテーションの場においても洞察力が高まったり、客観的にものの見方が変わるかもしれません。

縁起手法

我々の日常においてなぜ客観的にものを見る必要があるのか。 現代社会において

という点も絡んできます。

私の中でこのお話で紐づいたのはティール組織などがイメージできます。 ただ一方でどちらの組織であっても、対話に大きく課題があるかもしれません。

具体的には組織の中で階層があることによって、責任感が伴います。 それによってマウンティングする人、自分の意見を通したい人、絶対に折れない人。

そんな人と関わることが日常の中でもあると思います。

そんな時に必要な縁起手法というものを学びました。

具体的には"YES AND"というよく聞く手法で、相手を否定せず、肯定した上でそこに上乗せするという方法です。 これだけ聞くとどこかで触れたことがあるかもしれません。

そして、聞くだけでもイメージが持てると思います。

一方で、実際にやって見るとどうでしょう?私は気をつけるべき点を多く含んでいるのでは?と思っています。

  • 否定しない = 忖度していないか?
  • 否定をしてあげたほうがいいときは?
  • 本当に中身を理解しないでYESといっても説得力が全くない。

そんなところから、深い議論もありました。

例えば、YES ANDを繰り返していくと内容が一つの話にフォーカスして話題の転換が難しいかもしれません。 そして、否定を挟まないと自分の意思が伝えづらいかもしれません。

そんな時にBUTを使いがちですが、YESにも3つのパターンがあるとのこと。

  1. 我を通さない。無我で Yes する。生命として、我を無我とする。あなたも私も同じ、という自然な気持ち。
  2. 自我でイエスする。「私もその意見好きだよ!」接点出てくる。自分の自我をむき出しにして接点を決めていくと、息づいた人間同士のチームになる。
  3. ビジョンがあります、としたときに、ダイアログ・ディスカッション形式にも Yes が使える。

YESの中でも自分の気持ちを込めたYESや素直な肯定としてのYES、方針に揃えるためのYESなどあらゆる方法のYESがあります。

そして、否定をせずとも、

例えば、「川に行きたい!」に対して自分が「海に行きたい!」といった場合、

「川に行きたいってことは?川のどこに気に入っているの?釣りがしたいのなら、海もありだよね!」 であったり、

相手の共通点から否定をせずに選択肢を増やすことで話題を変えたり、相手に不快な気持ちを与えずにYES ANDで話を展開することもできるなと思いました。

この日のワークの残すはチーム活動でした。

今の考えのまとめ

昨日のライブから一番私が感じたのは、 「縁起手法を引き出しとして持っておくこと」、「感覚と解釈のバランスを自身でコントロールできるようになること」

が単純に必要だなと感じました。

一方で、これらはファシリテーターとしての深みを増すための心構えの全てではなく、一つでしかありません。

具体的には

  • 強い意志を持ってテンション高く「絶対これがいいと思う!」という相手に対して肯定をした上でボルテージを落として手法としての縁起手法
  • 論理的に話しても通じない、むしろそれを毛嫌いする相手に対して、感覚の重みを増やして視座を合わせて対話する
  • 複数人の対話が揉めたり、ゴールから遠ざかっている理由を五感で感じて、糸口を見つける

など、 生きる人間同士の場において事前の推測や机上の空論ではわからない、 実際の場における空気の変化やイレギュラーに対してファシリテーターとして広い視野を思って柔軟に対応するためのツールとして有効に活用できると思いました。

ファシリテーションを学んでいると

  • 事前の準備で100点を目指す
  • 手法などの手札を事前にできるだけ増やす
  • ファシリテーターとしての心構えや考え方を身につける

といったことに終始してしまいがちだと思います。 ただ、"場"は生き物です。

つまり、参加する方の

  • 体調
  • 気分
  • 組み合わせによる相性

によっても結果は変わります。

これは正直、いくら事前に考えても100点までは到達しません。

例えば、参加する会議直前の1本の電話でも変わります。

それをどこまで予想できるでしょうか?

これこそ、"柔軟性"や"臨機応変"といったスキルが必要です。

そんな時に観照術や縁起手法により、相手と自分の対話を心の澄んだ状態で行うことができるとファシリテーターとしての深みや落ち着きというものが笑に伴うと思いました。