きっと、うまくいく~非IT業界をスクラムで変えるための系譜~

一人のPO見習いが業界を変えるために奔走する様子をただただ綴るブログです。

読書感想:WORK SHIFT

最近、働き方に向き合う時間が多くなり、ちょっと前に少し話題になっていたこの本を手に取ってみました。

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

LIFE SHIFTの著者でもあるリンダ・グラッドンさんの著書。 実はこの本、帯にすでに結論が書いてあります。 その結論とは・・・

未来を自ら選び取っていくために必要な 3つのシフト

というのもの。 これについて1990年代の架空の人物の生活と2030年代の架空の人物の生活を比較するという面白いスタイルの読み物。 リンダさんの妄想がかなり具体的な形で書籍になっています。

その中から印象的なものを抜粋します。

はじめの問い

本書の序盤にこんな問いがあります。

2025年に、

私たちは、どのような仕事観をもっているのか? 私たちは、どのような仕事をしたいと思うのか? 私たちは、どのような希望をいだくのか? 私たちは、何が原因で夜眠れないほどの不安を感じるのか? 私たちは、自分のために、そして未来のために、なにを必要と感じるのか?

この問いに対して私は明確な答えは浮かばないものの、今の自分の立場や状況からすると

「より一層、情熱を燃料に進んでいる。もしくは、どこかで疲弊してしまっているのではないか。」

と感じました。ストレス社会と言われてしばらく経つ現代。 ものは増え、テクノロジーの進化とともに「忙しい」という感覚も増え続け、忙しい人は更に忙しくなっていくのでしょう。

同じ24時間でも人によっては早く感じたり、ゆっくり感じたりすると思いますが、 早く感じる人が増えるのではないかと思います。

つまり、この瞬間に対する速度が速まっていくのではないかと。

それだけの速度で駆け抜けるためには燃料がたくさん必要です。 その燃料を燃やし続けられるか。それとも燃料が切れて止まってしまうのか。

そのどちらに転ぶのかは今の私にはまだ予想がつきません。

では、燃料を補給し続けるにはどうするべきか。そんな視点もこの本に書いてありました。

この本の意味

あなたが未来を理解し、未来に押しつぶされない職業生活を切り開く手助けをするために、私はこの本を書いた。

と前置きを置いた後に

第一にゼネラリスト的な技能を尊ぶ常識を問い直すべきだ

第二に職業生活をキャリアを成功させる土台が個人主義であるという常識を問い直すべきだ

第三にどういう職業人生が幸せかという常識を問い直すべきだ

とあります。

それぞれ誤解を生みやすい言葉ではありますが、これについて事例と意見がふんだんに込められています。 詳細は本書を手に取ることをお勧めしますが、

私の理解では、前述のように

もっと忙しくなるし、もっと大変になるぞ!

と言っています。

具体的にはリモートワークの発展により世界との壁がなくなり、時差に関係なく週7日24時間どこでも仕事をする人が出てきたり、 新興国との情報資源の差がなくなり、ビジネス的にも人材的にも差別化がより必要になったりと言った部分です。

さらに寿命が長くなる一方でエネルギー資源は枯渇し、情報は溢れかえります。

そんな状態で我々は

捨てるものを決め、重要なことを肉付けする

ことに専念するべきで、つまりは多くのことに広く浅く手を出すよりも、

一つを極める。それだけではなく、続いて周辺技術も極める。それを繰り返す。

ということをしないと求められない存在となってしまうということです。 ただ、一人だけでできることには限界があります。

そのため、 自分は持ってない技術を自分と同じように極め続けている人とコミュニティーを作ることが重要です。

これが仕事の仕方そのものになるということです。 無秩序に集められた今の会社組織から外に羽ばたいた人材はそのような形で仕事を進めていきます。

そして最後に"価値"が変わります。 人々は現在、働く対価をお金という形で与えられます。

これにより無意識に

お金をもらい消費すること = 幸せ

と刷り込まれています。

そうではなく、"価値"自身が見直され、大量消費を正義とする世の中が"情熱を傾けられる経験"に変わらざるを得なくなるということです。

最後に

この本を読んで不思議と自分の行動を肯定されたような気持ちもありました。 一方で、自分はまだ「捨てる」ことができていないなと感じています。

どんな人でも1日は24時間。時にはゆっくり過ごし、自己回復したり、疾風の如く駆け抜けるにしても、 それができる時間が必要です。

そのための自分の時間を捻出するためにも、「捨てる」覚悟を持ちたいと思いました。

もしご興味がある方がいれば、この本を手に取ってみてください。

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉