きっと、うまくいく~非IT業界をスクラムで変えるための系譜~

一人のPO見習いが業界を変えるために奔走する様子をただただ綴るブログです。

書評:「プラットフォーム革命 ~経済を支配するビジネスモデルは、どう機能し、どう作られるのか~」

今日はプロダクトマネージメント寄りの書評です。

読んだ本はこちら!

プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか

プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか

なぜ読んだか

 この本はとある勉強会でいただいたものでした。 日常のプロダクトマネージメントの業務の中で、 「どうプロダクトをグロースさせていくのか」「顧客体験を最大するにはどうするべきか」といった点の参考になればと読んでみました。

サンプル集であり、教科書である。

この本の中では実在する有名なプラットフォームで

"どんなことが起こったのか" "どう生まれたのか" "なぜ生まれたのか"

といった部分と

"なぜこのプラットフォームは死んだのか" "ターニングポイントはなんだったのか"

といった観点も触れられています。

その為、ベストプラクティスだけではなく、アンチパターンも学べます。

プロローグ「燃えるプラットフォーム」

この書籍の序文から紹介します。

2011年2月、ノキアは難題にぶつかっていた

いきなり、課題にぶつかったノキアのお話です。前述の通り、この本では成功、失敗の両方がサンプルとして描かれています。 この章ではこれまでのインフラやハードウェア産業とプラットフォーム事業の明確な違いと

「その立ち位置を変える舵取りをした企業」 「その道にとどまることを選択した企業」

の軌跡を1つの例を基に紹介しています。

1~4章 プラットフォームビジネスとは何か、プラットフォームビジネスが経済を成長させている理由

1章では

  • ビジネスモデルの歴史
  • プラットフォームにおける消費者とプロデューサーの関係性
  • 商品の流れと情報の流れ
  • プラットフォームの定義と例
  • プラットフォームの構造
  • マッチング意思

などに触れています。

これらの背景から、プラットフォームには「交換型」と「メーカー型」の二つの方式があり、自分のプラットフォームがどちらに適しているのかを理解することで、コア取引と4つの基本設計に通づると語っています。

2章では一転、20世紀における企業論と価値について振り返っています。

それを踏まえた企業の本質、コンピューターが市場に与えた影響などについて解説しています。

そして、このころの考え方はもはや時代遅れになっていると言っています。 その理由は今までのビジネスのスピード感に比べてプラットフォームビジネスは急激であり、急速であることであるということに由来しており、そのトレンドはもうしばらく続くことです。

3章では、プラットフォームビジネスには限界費用がないこと。それにはベンチャーキャピタルの存在が寄与しているといいます。 そしてプラットフォームは"成長ができる"だけでなく、"成長しなければならない"そのスケールかを最大限に活用することが必要です。

そのため、ほとんどのプラットフォームは成功/失敗の二極化すると解説しています。

4章ではそれらの成功に当たる「プラットフォームの支配」を"現代の独占"と定義しています。 そのためにはビジネスモデル、市場の拡大、競争的な独占という表現で"現代の独占"が意味するものを解説しています。

5~8章 プラットフォームビジネスの仕組みと現代の独占企業への道のり

5章からは現代の独占企業へ成長するための方法や仕組みに触れています。 まずはそんな企業をどうデザインするか。そのためには

  • 創造する
  • 結びつける
  • 消費する
  • 対価を支払う

という「コア取引をいかにシンプルに提供するか」とその重要性を説いています。

そして6章ではそのコア取引を実現するためのプラットフォームの4つのコア機能について解説しています。 4つのコア機能とは

  1. オーディエンス構築
  2. マッチメーキング
  3. 中核的ツールとサービスの提供
  4. ルールと基準の設定

です。その方法と具体例を基に7章では、

"プラットフォーム運営者ではなく、生まれたネットワークやコミュニティーに仕事を任せる"

というプラットフォームビジネスならではの重要な観点について解説しています。

最後の8章ではここまで解説してきたプラットフォームたちを基に

「あなたならどうしますか?」「こんなチャンスがありますよ?」

といった自身のプラットフォームを構築することに対するヒントをくれています。

ここまで理解してきたプラットフォームビジネスをどう体現するかのはじめの1歩といったところでしょうか。

どんな人にオススメか

ここまで述べてきたようにこの本では

サンプルを交えてプラットフォームの理解をし、自身のプラットフォームを構築する

といったことがまとめられています。

そのため、この本は

  • プラットフォームビジネスに興味があり理解を深めたい
  • 自身で立ち上げたい
  • プラットフォーム開発にアサインされた
  • これからのビジネスモデルを学びたい

といったライト層から実務者まで幅広く学べるものだと思います。

ぜひ、手にとってプラットフォームについての理解を深める教科書として活用することをお勧めします。

プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか

プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか